非正規雇用は努力不足なのか?障害や遺伝で能力が決まる理不尽な社会
非正規雇用で苦しむ人達に、正社員になる努力をしなかったと、批判する声があります。
では、彼らは、本当に、まともに働こうとしていないのでしょうか?
例えば、障害があるために、正社員の責任を負えるほど、能力がない人もいます。
こういった人に努力不足だと言うのは、理不尽だと言えます。
確かに、障害者雇用で、正社員になればいいと言う意見もあるでしょう。
また、障害者にならずとも、努力できない人だっているのです。
仕事の能力も、遺伝で決められてしまい、どうにもならないことがあります。
妻子をもって、責任ある仕事をすることは、とてもハードの高いことなのです。
この社会的責任に対して、多くの若者が、フェードアウトしています。
努力不足であり、能力がなければ、それなりの労働をやろうとするでしょう。
その責任回避の選択肢として、非正規労働があるのです。
また、社会にとって、今や、非正規労働は、なくてはならないものです。
企業にとっては、コストをおさえられて、便利な雇用になっています。
全社員を正社員にしてしまえば、とても、会社の経営ができない時代になりました。
つまり、非正規雇用は、必要悪であり、なくならないものなのです。
そんな恩恵を受けている人が、非正規労働者を努力不足とみなすのは、おかしいと思います。
現代では、正社員を目指す人に、厳しい採用試験を課しています。
私は、派遣労働者なら、人を選ばないが、正社員採用だと、厳しくせざるを得ないと、採用担当者に言われました。
現在の日本の法制度では、正社員は、なかなか首をきることができないのです。
正社員が自主退職しない限り、どうにもなりません。
解雇規制が厳しいからこそ、非正規労働者が、便利な首切りに利用できるのです。
平成不況以降、日本人には、正社員と非正規労働者で、分断が起きています。
労働者を守るはずの労働組合も、正社員のためのものです。
こういった理不尽な状況があり、非正規労働者になれば、どうしようもない不安感がつきまとうのです。
非正規労働者は、企業にとって、なくてはならない存在になりました。
彼らがいないと、もっと景気は、悪化していたでしょう。
グローバル化で、安い賃金の労働者が必要になり、非正規労働者に注目が集まったのです。
平成から令和までの期間で、サラリーマンの給料は、大幅に減りました。
正社員であっても、妻子持ちで、住宅ローンをかかえると、生活は苦しくなります。
ただ、個人が生きていく限りだと、あまり、問題にはなりません。
非正規労働者になれば、結婚できないということもあります。
これは、男性に良く見られる現象です。
果たして、非正規労働者になるのを、努力不足ですましていいのでしょうか?